シン・ゴジラをキャッチコピーから考える
シン・ゴジラ(2016)
シン・ゴジラを観てきました。
賛否両論と聞いて気になっていたのですが、結果とても楽しめました。
この映画のキャッチコピーがとても的確だと思ったので、
このキャッチコピー「現実(ニッポン)対 虚構(ゴジラ)」を軸に
この映画がどんな映画なのかを自分なりにまとめてみようと思います。
ネタバレになりかねない内容に触れるので、以下ご注意ください。
キャッチコピーは「現実(ニッポン)対 虚構(ゴジラ)。」
今回はこのキャッチコピーを軸に、
・「現実 対 虚構」
・「ニッポン 対 ゴジラ」
・「現実 対 虚構の中にある現実要素」
という3つの角度で考えて行こうと思います。
1.「現実 対 虚構」
「現実 対 虚構」とは、この作品の前提です。
・現実サイドはどこまでも現実的でなくてはならない。
・虚構サイドはフィクションである以上何をやってもかまわない。
虚構サイドのゴジラはやりたい放題です。
そんなことが出来るなんて聞いてないよ!の連発。
何をやっても構わないので理不尽に強い存在です。
一方、現実サイドの日本は超現実主義。
実在する技術を用いて、正当な手続きで、 実現可能な手段で立ち向かいます。
破天荒すぎるアメリカンな主人公も超科学秘密兵器も存在しません。
つまりこれは虚構の事態に対する綿密な災害シミュレーションを、
エンターテイメントに落とし込んだ作品なのです。
ミリタリーファン大歓喜!ワクワクしないワケがない。
2.「ニッポン 対 ゴジラ」
次は漢字にふられたルビについてですが、
ここにはこの映画の特殊さが表されています。
「現実 対 虚構」が、この作品の前提であることに対し、
「ニッポン 対 ゴジラ」はこの作品のメインがどこにあるかを表しています。
今回の戦いは「ニッポン 対 ゴジラ」であって「人類 対 ゴジラ」ではありません。
この作品には登場人物の家族の事や過去のエピソードが語られません。
どうやらそこが賛否両論ポイントになっているようなのですが、
それは主役が人間ではなく、ニッポンという組織だから当然のことです。
人々がどのように考えて行動し、結果として組織がどう動いたのかが、
この映画が最も見せたいところなのです。
人間ドラマにフォーカスする作品が多い中、
組織に重点を置いたこの作品は少々特殊と言えるのではないでしょうか?
3.「現実 対 虚構の中にある現実要素」
この作品、現実 対 虚構 と言いつつ、
ゴジラのもたらす被害は明らかに東日本大震災を連想させるものです。
(正直かなりドキドキします。津波と倒壊した建物と、火の海、放射能。)
私たちはゴジラのような怪獣に遭遇したことはありませんが、
ゴジラ級の脅威には遭遇した経験があります。
この作品、なんやかんやで「現実 対 現実」を描いた作品なのです。
最初はいつもの調子で動きが鈍いニッポン。
よく分かんないねえとまごまごしているうちに街はみるみる壊滅。。。
しかし後半に向かうにつれて、組織は頼もしさを増していきます。
テンポよく決断し、誠実に任務に取り組み、努力を惜しまない人々。
作戦が上手くいかない時も「善処はしたよね」と納得できる内容でした。
そしてラストは、完全なる解決に至ることは出来ませんでしたが、
今実現できる最適解へと着地することが出来るのです。
実在する技術を用いて、正当な手続きで、 実現可能な手段で、
ニッポンはゴジラに対抗することが出来ました。
これは、もしこの先またゴジラ級の事態が起こっても、
日本にはそれに対抗できる力が十分にある。
力を合わせれば日本は頑張れる。ということを示します。
また大きな災害が起こりうるという可能性を抱えつつも、
頼もしい希望を残して、この映画は終わります。
喋りすぎました
以上が私のこの映画に対する解釈です。
なんかもう普通に面白かったですはい。
他にも考察したいところが色々あるのですが、
今回はキャッチコピー主軸ということで、
一旦ここまでにしたいと思います。
ありがとうございました。
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今週のお題「映画の夏」